「そんな時間、あるの?」と言われながら試した動画編集。時給は、1,000円だった

夜明け前の机の上、動画編集ソフトを開いたノートパソコンと電卓。動画編集を試して時給1,000円だったと知った体験談のアイキャッチ 副業の失敗と学び

「動画編集って、稼げるのかな」

一度でもそう検索したことがあるなら、この話は他人事じゃないと思う。

去年の11月、僕はそれを検索する側から、試す側に回った。そして周りの人に、こう言われた。

「よくやるねー。そんな時間、あるの?」

正直、返事に詰まった。

時間は、ない。本業で工場のロボットに動きを覚えさせる調整の仕事をして、副業で会社の業務支援もして、そのすき間で暮らしている。「あるの?」と聞かれたら、ないんだ。

この記事は、あの日の僕と同じ「気になるけど、時間がない」というあなたの、電卓代わりに書いた。かかったお金も、計算してしまった時給も、やめた本当の理由も、全部書く。といっても、「動画編集はやめとけ」という話ではない。3ヶ月ほど試して、静かにやめた、ひとりの記録だ。

1. それでも僕が、時間を作ってまで試す理由

先に、言い分から。

時間がないのに、なぜ手を出すのか。理由はひとつ。試してみないと、何も分からないんだ。触ってみて初めて気付くことがある。思いがけずハマって、それが次の仕事の種になることだってある。だから、頑張って時間を作ってでも、そりゃやる。周りに呆れられるのは、いつものことだ。

ちなみに、聞かれてもいないのに「Adobe買ってやってみたよ」と自分から言って回っていたのは僕だ。呆れられるところまでが、いつものセットになっている。

きっかけは、こうだ。大きな夢は、最初からなかった。

僕には、自分のYouTubeチャンネルがある。そこに上げる動画を、一度は自分の手で編集してみたかった。それと、もうひとつ。「動画編集をやったことがある」「編集ソフトを使える」。そういう実績が1個増えたらいいな、という程度の動機だった。誰かに雇われたいわけでも、月に何万円と皮算用していたわけでもない。実績づくり、と言えば聞こえはいいけれど、要するに「触ったことがある」と言えるようになりたかっただけだ。

去年の11月初旬、編集ソフトはAdobeのPremiere Pro(プレミア プロ。動画を切ったり文字を載せたり、ひととおり何でもできる定番ソフト)にした。月に、たしか5,000円ほど。

「まあ、使ってみないと感覚も分からないし」

ずっと使い続ける気は、最初からなかった。軽い気持ちで結んだ、月払いの契約だった。

あとから振り返ると、この身軽さだけは我ながら悪くなかったと思う。

2. ロボットのソフトと、1時間のダウンロード待ち

作りたい動画は、決まっていた。

本業で使う、産業用ロボットのシミュレーションソフト(パソコンの中でロボットを動かして試せるソフト)がある。これのインストール方法を、動画にしたかった。手順そのものは、案内にそって画面を順番に進めていくだけ。難しいのは操作じゃなく、待つことだ。

インストールには、1時間くらいかかる。

ただ、その1時間の中身には、誰でも身に覚えがあるはずだ。実際に手を動かしている時間は、ほんの少し。大半は、ダウンロードをじっと待っている時間なんだ。画面の前で、進み具合のバーが伸びるのを、ただ眺めている。あの時間だ。

「この待ち時間を早回しにしたら、動画になるな」

思いついたのは、まさに自分がそのバーを眺めていたときだった。同じソフトをこれから入れる誰かなら、手順の全体と「どこで待つか」さえ分かればいい。1時間の作業を数分で見渡せる動画。地味だけど、役には立つ。構成も決めていた。手順の画面はそのまま流して、待ち時間だけを早回しでつぶす。それだけだ。

企画としては、悪くないはずだった。

3. 朝5時、動画が編集されていく — 「こうやりたい」が実現する快感

編集のやり方は、YouTubeで覚えた。

Premiere Proは定番ソフトだけあって、解説動画が山ほどある。「ここを切りたい」「文字を入れたい」と思ったら、検索すれば誰かが教えてくれる。つまずいては調べて、また戻る。独学というより、席の隣に先生がいる感じだった。教材の類いは、買っていない。無料の動画だけで、必要なことは足りた。

作業はきまって、夜明けの1時間。朝5時に始めて、6時にやめる。本業と副業の合間にある、僕の自由時間だ。1日のうちで、電話が鳴らない唯一の時間帯でもある。

で、肝心の編集はどうだったかというと——楽しかったんだ、これが。

余計な間を切り落とすと、動画がきゅっと締まる。載せたい言葉が、狙った場所に文字で出る。頭の中の「こうやりたい」が、画面の上でそのとおりに形になっていく。操作を覚える工程も、苦どころか、ちょっとしたご褒美だった。

<このとき学んだこと>

「楽しい」は、続ける理由にはなる。でも、それだけでは値段まで付けてくれない。このときの僕は、まだそこを分けずに手を動かしていた。

楽しさだけなら、今も続いていたと思う。

4. できあがった1本と、3時間という現実

1本、完成した。

余計な間を切って、字幕を載せて、待ち時間のバーは早送りに畳んで。それだけの動画だ。凝った演出は、何ひとつない。

かかった時間は、3時間。

初めてだから、というのはある。解説動画を止めては真似て、間違えては戻して、の積み重ねだったから、慣れれば縮むことも分かっている。それでも、この単純な1本に3時間かかったという事実は動かない。あの朝、机の上に置かれていたのは、小さな達成感と、この数字だったんだ。

<このとき学んだこと>

やってみると、作業の値段より先に「自分の速度」が分かる。想像の中の自分は、いつも実物より速い。

ここから先は、電卓の出番だった。

5. 時給1,000円。そして「こんな仕事は、そもそもない」

冷静に、計算してみた。

もしこの編集を仕事として受けていたら、いくらもらえるだろう。単純なカットと字幕だけの案件なら、相場はたぶん1本3,000円くらい。凝ったことは何もしていないのだから、それより上は望めない。3,000円を、3時間で割る。

時給にして、1,000円。

しかも、だ。計算しながら、もっと嫌なことに気付いてしまった。

「いや、こんな単純な作業だけの仕事、そもそも無いよな」

世の中の編集案件は、もっと凝ったものを、もっと速く求めてくる。つまり、時給1,000円のこの仕事すら、今の僕にはまだ回ってこないんだ。

先に書いておくと、実際の案件は何ひとつ受けていない。仕事の仲介サイトに登録すらしていない。登録する前に、やめた。営業のしかたを調べるより先に、電卓が答えを出してしまったからだ。自分の動画を、自分で編集してみただけ。それで、十分だった。

<このとき学んだこと>

時給は、求人票がなくても計算できる。自分の作業を1本やって、費やした時間で割り算するだけ。数字は、想像より正直だ。

1,000円という数字を、しばらく眺めていた。

6. 気づいてしまった — 問題は時給じゃなく、納期だ

以前、自分の失敗を並べて書いたことがある。そこでは、この撤退を「割に合わなかったから」の一言で片づけた。嘘ではない。でも、半分だ。

残りの半分を、ここに書く。

時給1,000円でも、楽しければ趣味として続けられる。実際、楽しかったんだから。本当に引っかかったのは、別のところだった。

納期だ。

仕事として受ける以上、締め切りがある。「この日までに納品してください」。当たり前の話だ。でも僕の毎日は、本業のロボットの仕事があって、その上に副業の業務支援が乗っていて、自由になるのは朝の1時間だけ。それも、本業が立て込めば簡単に消える朝だ。その1時間が終われば、あとは夜まで本業と副業で埋まっていく。1日のどこを探しても、新しい締め切りを招き入れる余白がない。そこに締め切り付きの仕事をもう1個載せたら、たぶん、どれかが壊れる。

「納期がある仕事は、これ以上増やせない」

これは編集をやって発見したというより、もともと薄々思っていたことだ。それが、3時間の実作業で確信に変わった。手を動かす前の「たぶん無理」は推測で、動かした後の「無理」は実測なんだ。

<このとき学んだこと>

副業選びの条件は、儲かるかどうかの前に「すき間時間だけで回るか」。締め切りが固定された仕事は、すき間では受け止められない。

僕の3ヶ月は、この1行のためにあったんだと思う。

7. 動画は222回再生され、編集は任せる側になった

後始末の話をする。

Premiere Proは、3ヶ月ほどで解約した。払ったのは、合計でたしか1万5千円。

で、あの3時間の動画はどうなったかというと——ちゃんとYouTubeに上げた。

再生数は、222回。

この記事を書いている時点の数字だ。大ヒットとは言わない。でも222回ぶん、誰かの「1時間の待ち時間」の役に立ったらしい。お蔵入りにしなかった自分を、ちょっとだけ褒めたい。

そして今年の4月から、チャンネルの動画編集は、代行会社さんにお願いしている。

自分で3時間かけたからこそ、任せる決断は速かった。動画を1本出すには、企画を考えて、撮影して、編集する。この一連の流れを全部ひとりでやるのは、めっちゃ大変だ。それを毎回、締め切りどおりに回すなんて、僕のすき間時間には載らない。編集の大変さを体で知っていたから、「ここは人に頼む場所だ」と迷わず線を引けたんだ。

「自分でやればタダ」という考え方は、この3時間で卒業した。自分でやる場合の本当の値段は、タダじゃない。自分の時給に、かかる時間を掛けた金額だ。

<このとき学んだこと>

自分でやってみた作業は、人に任せるときに値踏みができる。何も知らずに丸投げするのと、大変さを分かって任せるのは、別物だった。

編集さんから上がってくる動画を見るたびに、あの3時間を思い出す。

8. さいごに — 1万5千円の失敗と、残った時間の値札

ここまでが、僕の動画編集の全部です。

精算書ふうに、まとめておく。

・払ったお金:Adobe代、たしか合計1万5千円。3ヶ月ほどで解約した

・得たもの:動画1本(再生222回)と、時給1,000円という計算結果

・残ったもの:「締め切りの仕事は、すき間に載らない」という自分の条件。これが一番大きい

時給1,000円。数字だけ見れば、はっきり失敗だ。でも不思議と、損をした気はしていない。

あの3時間で、自分の時間に値札を付ける癖が身についたからだ。どの作業なら安くて、どれなら高く売れるのか。何を自分でやって、何を人に任せるのか。動画編集はやめたけれど、この物差しは今も毎日使っている。

僕の副業でただひとつ続いたものも、たどってみれば、同じ物差しの上に乗っていた。慣れない作業に使う1時間は安く、積み上げてきた経験を渡す1時間は高い。それだけの、シンプルな話なんだ。

試す = 自分の1時間に、値札を付けてみること。

だから僕は、これからも時間を作って、いろいろ試すと思う。「そんな時間、あるの?」と言われながら。——正直、今もない。でも、試した数だけ値札が増えて、自分の時間の使いどころが、少しずつ上手くなっていく気がしている。値札が増えるほど、「これはやらない」と決めるのも早くなるから。

▼その「続いたひとつ」の話は、こちらに全部書きました:
「コンサルなんて、キラキラした経歴の人の仕事でしょ」と尻込みしているあなたへ。現場出身の僕が、手取り15,400円の0→1に届いた話
https://komuroblog.com/spot-consulting-first-job/

次回は少し変わり種で、このブログ自身の運営報告を書きます。

開設2ヶ月のブログに何が起きたか。アクセスも報酬も、四捨五入なしで公開します

「ブログって、実際どうなの」の答え合わせに、使ってもらえたら嬉しいです。

帰りがけに、募集をひとつ置いていきます。

時間がないのに、それでも試したこと。あなたにも、ありますか。

資格の教材を3日で閉じた。英会話アプリの連続記録が3日で切れた。——その手の話なら、なんだって歓迎です。コメント欄にどうぞ。こちらは時給まで表に出した身なので、金額は伏せたまま気楽に書いてください。笑

この記事を書いた人
こむろ

製造業のひとり社長(合同会社6期目)。副業を5つ試して4敗1勝。FX・ブログ・コンサル・AI活用の実体験を、金額も時間もそのまま書いています。

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