「コンサルなんて、キラキラした経歴の人の仕事でしょ」と尻込みしているあなたへ。現場出身の僕が、手取り15,400円の0→1に届いた話

カメラオフのWeb会議画面。初めてのスポットコンサル体験談のアイキャッチ画像 副業の失敗と学び

「コンサルって、響きがかっこいいな」

これが、すべての始まりだった。2021年の冬。まだ会社を作る前、個人事業主(会社にしないで、個人の名前で仕事を請ける形)だった僕は、いつもの仕事とは軸をズラした、異業種の仕事を探していた。そこで引っかかったのが、この響きだ。

動機が不純なのは、このブログではいつものことです。この記事は、「コンサルなんて、経歴がキラキラした人の仕事でしょ」と尻込みしているあなたに向けた、現場出身の僕の0→1(ゼロイチ。はじめて自力で立てた売上のこと)の記録です。プロフィールの中身も、提案文も、お金の明細も、ぼかし以外は当時のまま見せます。面談17件中1件という数字も、数字のまま置いておきます。

下心 — Google検索から始まった

「コンサル」の響きのかっこよさに引っ張られて、僕はGoogle検索でひたすら探した。

すると、スポットコンサルという仕組みが出てきた。経験者の話を、企業が1時間ぶんだけ買える仕組みだ。コンサルタントとして会社と契約するのではなく、1時間だけ、自分の経験を貸す。これなら現場の人間にも入口がありそうに見えた。本業と同じ仕事を安売りするのでもなく、ゼロから何かを覚えるのでもなく、持っている経験を別の形で使う。「軸をズラした異業種」を探していた僕には、ちょうどいい距離感に思えたんだ。

ビザスク、NewsPicksエキスパート、i-common。見つけたサービスに、片っ端から登録した。

最初に手を挙げたのは、2021年1月。謝礼(インタビューのお礼として払われるお金)3,850円の案件だった。

実施には、至らなかった。

<このとき学んだこと>

登録は、スタートラインですらなかった。それでも、この最初の1通を送っていなければ、ここから先の話はひとつも起きなかった。

案件一覧のいちばん下に、その3,850円の案件はいまも残っている。

プロフィール — キラキラの棚には、何も置けなかった

最初に手が止まったのは、プロフィールの入力欄だった。

書けることを、順番に並べた。ロボットのサービス会社での保守や故障修理、ティーチング(ロボットに動きを覚えさせる作業)。技術のことだけじゃなく、見積の作成や定期打ち合わせみたいな、庶務まわりのことも書いた。24時間対応の現場にいたことも、教育の講師をやったことも書いた。1年しかいなかった工作機械の会社は、書けることが少なくて、実務を少しだけ。スタートアップにいた頃の、テレアポ(電話でアポイントを取る営業)から事務所まわりまで何でもやった話は、具体的に書いた。

書きながら、心の中はこうだった。

「これで良いのかな?」

「この現場での経験しかないけど、大丈夫かな?」

コンサルとは、もっと経歴がキラキラしている人たちの職業だと思っていた。その人たちの棚に、現場の保守と見積の話を並べていいのか。不安なまま、入力欄を埋めていった。

ちなみに、これはずっと後の話だけど、いまの僕のプロフィールは「産業用ロボット業界にて18年以上の実務経験があります」という一文から始まっている。並べている中身は、あの日とほとんど同じだ。先頭の一文だけが、言い切りになった。

<このとき学んだこと>

プロフィールに書けるのは、盛った肩書きじゃなくて、やってきた事実だけだ。埋めながら不安になるのは、たぶん事実だけを書いている証拠なんだ。

書き上がったプロフィールは、キラキラとは程遠かった。

隙間時間の1通 — 「おっ!通った」

正直に書くと、登録したはいいものの、ろくに活動できていなかった。

それでも案件の一覧は、たまに眺めていた。ある日、現場の匂いがする公募が目に入った。大手通信会社で新規事業を担当している方が、装置や設備の「点検サービス」について、実際に携わった人間の話を聞きたい、という1時間のインタビューだ。

点検なら、僕の本業ど真ん中だ。隙間時間に、提案を1通送ってみた。

2日後、返信が来た。

「おっ!通った」

やった!という感覚と、「当日大丈夫かなー」というドキドキが、同時に来た。読まれたのは意気込みじゃなくて、経験と案件が噛み合っているかどうか。それが分かったのは、ずっと後の話だ。このときはただ、面談の日程が決まってしまったことに、そわそわしていた。

<このとき学んだこと>

通る1通は、気合いを入れた日じゃなくて、隙間時間にやってくる。準備万端になってから応募しよう、と思っていたら、この日は来なかった。

通知の画面は、何度見ても「決定」のままだった。

提案文の実物 — 飾る場所が、そもそもなかった

このとき送った提案文を、社名などをぼかして再現する。公募側が指定した4項目に、答えを埋める形式だ。

・所属と業務内容 :ロボットのサービス会社で、産業用ロボットの保守・メンテナンス

・当該業務の経験 :産業用ロボットの現場で10年以上

・点検の対象   :産業用ロボット、工作機械

・点検サービス概要:現地での故障部品の交換、グリスアップ(機械の関節に油を差す、あの作業)

これだけだ。事実を4行並べただけ。志望動機を書いた記憶は、ない。

値段の話もしておく。謝礼は先方が提示した幅(たしか2万円から3万円)の中から選ぶ形式で、僕はいちばん安い2万円にした。理由は単純で、仕事を1件でも受注したかったからだ。

<このとき学んだこと>

先方が知りたいのは、僕の経歴の輝きじゃなくて、現場で何を見てきたかだった。飾りようのない事実の羅列が、そのまま提案書になったんだ。

かっこいい響きの世界の入口は、ずいぶん事務的だった。

当日 — 相手のカメラは、OFFだった

面談は2022年の夏。Web会議で1時間。

事前に先方から丁寧なアジェンダ(当日の進行表)が届いていた。自己紹介に10分、僕の業務の話に10分、点検サービスの話に35分。聞かれるのは、点検の仕事の流れ、現場の担当者が困っていること、この先どうなっていくと思うか。つまり、僕が毎日やっていることそのものだ。ここまでお膳立てされていても、緊張はする。

接続の瞬間、心の中はこうだ。

「うわー始まるー」

そして想定外がひとつ。カメラをONにして話すものだと思っていたら、相手はカメラOFFだった。顔が見えない。リアクションが分からない。うなずいてくれているのか、首をかしげているのか。手応えの見えないまま、探り探りで現場の話をし続けた。

1時間が終わった。

「終わったー」

モニターの前で、しばらくうなだれた。

<このとき学んだこと>

相手は僕を審査しに来たんじゃなくて、現場の話を聞きに来ていた。会話の主役は僕の経歴じゃなくて、現場の実務のほうだったんだ。

あの日の相手の顔を、僕はいまも知らない。

明細 — 手取り15,400円

数字を、そのまま書く。

謝礼は2万円(税抜)。そこからサービスの手数料が引かれて、僕が受け取ったのは15,400円だった。

0が、1になった。

生活が変わる金額ではない。でも、これは種類の違うお金だった。会社の看板も、決まった取引先もない場所で、僕の現場の話に、知らない人が値段をつけてくれた。その事実のほうが、金額より重かった。

<このとき学んだこと>

現場のなまの話には、市場で値段がつく。それを教えてくれたのは、セミナーでも本でもなくて、15,400円の振込だったんだ。

ちなみにこの15,400円は、スポットコンサルの報酬としては、いまも僕の最高額だ。

現実 — 一覧を数えたら、17件中1件だった

さて。ここからが、このブログらしいパートだ。

その後も、気が向いたときに応募を続けた。ここは正直に書く。ビザスクで面談までいけたのは、後にも先にもあの1件だけ。この記事を書くにあたって案件の一覧を数えたら、面談案件は17件、実施できたのは1件だった。声をかけてもらったのに噛み合わなかったものも、自分から見送ったものも、この17件には混ざっている。

最近はもっぱら、アンケート形式の案件に回答している。1件2,000円。有償のアンケートで4,000円だったこともある。面談に比べれば小さな金額だけど、これはこれで、現場の知見に値段がついている。逆に、条件が合わずにこちらから見送った2,000円の依頼もある。来たものを全部受けるわけでもない、その程度のゆるい距離感で付き合っている。

同じ頃に登録した別のサービスでは、毎月1回訪問する顧問型の仕事も1件もらえた。こちらは数回で終了している。

<このとき学んだこと>

打率は、恥ずかしい数字じゃなくて、ただの記録だ。16件の不成立は、1件の実施を安っぽくしない。むしろ逆なんだ。

一覧のいちばん上には、今年の応募が載っている。まだ、送っている。

それでも、やめない理由 — やりたい時だけ、やれるから

コケた話ばかり書いてきた僕が、なぜこれだけやめていないのか。

理由は、拍子抜けするほど単純だ。やりたい時だけ、やれるから。案件が来なければ何もしなくていいし、面白そうな公募があれば隙間時間に1通送るだけ。そして、新しく覚えることがない。売り物は、すでに持っている現場の経験だからだ。

ブログで僕を潰した「毎日更新」も、FXで僕を吸いつけた「相場に張りつく時間」も、この副業には存在しない。要求されるのは、実施が決まったときの1時間だけ。

ひとつだけ注意も書いておく。会社員の人は、守秘義務が気になってハードルが高い副業になるかもしれない。どこまで話してよいかの境界線だけは、登録の前に決めておいたほうがいい。

ABCスペースの記事で、コミュニティが続かなかった理由を「性分」と書いた。その答え合わせが、たぶんこれだ。ひとりで、やりたい時だけ、持っているものを渡す。僕に何も要求してこない副業は、折れようがないんだ。

▼性分の話はこちら: 「その場所に行けば、何かが変わる」と勘違いしていた僕へ。仲間を求めて入会して、書き込み0回で退会した3ヶ月の話
https://komuroblog.com/blog-community-3months/

<このとき学んだこと>

続けよう、と決意した副業はぜんぶ止まった。続けようと思う必要すらなかったものだけが、手元に残った。

0→1から4年、打率1割未満のまま、それでも手放していない。

まとめ — かっこいい響きの、正体

登録からの5年半を、棚卸ししておく。

・下心  :「コンサル」の響きがかっこよくて、Google検索から始めた

・登録  :3つのサービスに登録。最初の1通は謝礼3,850円で、実施に至らず

・0→1 :2022年の夏。現場の話を1時間して、手取り15,400円

・打率  :面談案件17件中、実施1件

・いま  :アンケートに答えつつ、たまに応募を送っている

5年半をひと言にたたむと、こうなる。

スポットコンサル = 経歴を売る仕事じゃなく、現場のなまの話を1時間だけ貸す仕事。

キラキラした経歴は、いらなかった。必要だったのは、現場で見てきた事実と、それを1時間ぶん話せる整理だけだった。

——ところで、最後にひとつ白状しておく。いまの僕の本業の契約書には、「コンサルタント」という名目で結ばれているものがある。響きに釣られてGoogle検索していた2021年の僕に教えたら、たぶん信じないと思う。かっこいい響きの正体は、現場の話の積み重ねだったんだ。

さいごに — 響きの正体は、もう持っている

「コンサルって、響きがかっこいいな」。5年半たった僕の答えを書くと、かっこいいのは響きだけで、中身は現場の話です。そしてそれは、あなたの中にもすでにある種類のものです。

「この経験しかないけど、大丈夫かな」と尻込みしているなら、思い出してください。僕のプロフィールは保守と見積と庶務の話で、それでも通る案件は通りました。不安になりながら書いた事実の羅列で、いいんです。

最後に、コメント欄の話をさせてください。

僕の提案文と同じで、飾りは要りません。あなたが「これはお金にならない」と決めつけている経験を、一行だけコメント欄に送ってみてもらえませんか。長年やっている現場仕事でも、毎月の事務を回すコツでも。それが15,400円になるのを見てきた側なので、「それ、聞きたい人いますよ」と返せる気がします。打率1割未満の手の内をひとりで晒しているのは、ちょっと心細いので。笑

値段がつくかどうかは、送ってみるまで分かりません。分からないまま送った1通が、この記事になりました。

この記事を書いた人
こむろ

製造業のひとり社長(合同会社6期目)。副業を5つ試して4敗1勝。FX・ブログ・コンサル・AI活用の実体験を、金額も時間もそのまま書いています。

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