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「会社の住所、どこに置けばいいんだろう」
自宅で登記(会社の正式な住所として、国の帳簿に載せること)をしているひとり社長が住み替えを考えたとき、この問題は突然やってきます。私の場合は、賃貸の契約の場でそれを初めて知るところから始まりました。
いま同じ問題の前にいるあなたに、この記事で渡せるものは3つあります。バーチャルオフィス(住所だけを貸してくれるサービス)3社を本気で比較した、当時の表の実物。その比較表のどこにも載っていなかった、最終的な答え。そして、自分で登記をやって住所を1文字間違えた顛末。金額込みで、全部書きます。
かっこいい話は、ひとつも出てきません。登記関係だけで、6万円払っています。
「この物件、法人の登記はできません」— 重説で知った
2024年。住み替えのために、賃貸の部屋を契約しました。引っ越しの半年ほど前のことです。
法人で契約できるかどうかは、事前に不動産屋さんに確認して、OKをもらっていました。だから安心していたんです。ところが重説(重要事項説明。契約の前に、物件のルールを説明してもらう場)のとき、「登記も可能ですか?」と聞いてみたら、答えは「登記をするなら、居住用ではなく事業用の物件という扱いになる。だから、できません」でした。
心の中は、こうです。
「えー。法人の契約の話の時に、登記についても聞いておかなきゃいけなかったー、しまったー」
「法人で契約できる」と「法人の登記ができる」は、別の話なんです。住むことと、会社の住所を置くことでは、物件の扱いがまるで違う。恥ずかしながら、私はこのとき初めて知りました。
もしあなたがこれから法人名義で賃貸を借りるなら、内見でも重説でもいいので、こう聞いてみてください。
「この物件で、法人の登記はできますか」
「住むのと、会社の住所を置くのとで、扱いは変わりますか」
聞き方はどちらでも大丈夫です。契約の前に聞くのと、後で知るのとでは、選べる手の数が違います。
家が売れない、という1年の猶予
「じゃあ会社の住所はどうしたんだ」と思いますよね。
実は、しばらくは何もしていません。それまで住んでいた家は持ち家で、会社の登記もそこに置いたまま。引っ越しは2024年11月。その後に家を売りに出したのですが、これが1年間、売れませんでした。
家が売れない間は、家は私のものです。つまり、登記はそのままで問題ありません。「売れたら住所を考えなきゃ」という積み残しを抱えたまま、1年が過ぎました。この1年は、持ち家と賃貸の二重契約でもありました。
家が売れないことが、そのまま猶予になっていたんです。喜んでいいのか分からない猶予ですけどね。
そして2025年の秋、家は無事に売れました。
うれしい。うれしいけれど、積み残しの締切です。会社の住所を次の場所へ移さないといけません。でも、住んでいる賃貸には置けません。さて、どこへ。
選択肢は3つ — バーチャルオフィス・シェアオフィス・ツテ
2025年の夏頃——だったと思います。売却の話と前後して、私は住所の引っ越し先を探し始めました。調べてみると、選択肢は大きく3つです。
・バーチャルオフィス:住所だけを借りられるサービス。郵便物も転送してくれる
・シェアオフィス:仕事場を共同で使うサービス。住所を置けるプランもある
・ツテ:知り合いの事務所などに、住所を置かせてもらう
シェアオフィスは、リージャスという会社のオープンスペースを見ていました。ただ、私の仕事は客先と自宅が中心で、毎日通う仕事場は要りません。住所と郵便のためだけなら、バーチャルオフィスのほうが安いんです。
そして3つ目のツテは——このときの私の頭には、まだありませんでした。
3社を本気で比較した表と、「ココ」と書いた理由
バーチャルオフィスは、3社をExcelで比較しました。当時の表から、そのまま持ってきます。前提は3つだけ。法人の登記ができて、愛知県の住所で、郵便物を転送してくれること。
・GMOオフィスサポート:月1転送1,650円/隔週2,200円/毎週2,750円。転送費用は月額に込み。入会金・保証金は0円(私の本命)
・DMMバーチャルオフィス:毎週転送にすると月2,530円+転送費1,320円で計3,850円。入会金5,000円と保証金5,000円が別
・オールワン:プランと転送頻度の組み合わせで、ざっくり月2,720円〜3,080円。入会金5,000円
※料金はすべて、私が調べた2025年夏頃時点のメモです。今のプランや金額は、必ず各社の公式サイトで確認してください。
この表のGMOの「毎週転送2,750円」の行に、私は「ココ」と書き込んでいます。理由を4つに分けて書きます。
◇(1) 愛知県の住所が選べた
こういうサービスは、拠点が東京・大阪中心のものが多いんです。私が調べた限り、愛知の住所を選べる時点でかなり絞られました。地元の会社の住所が急に東京になるのは、どうにも落ち着かなくて。
◇(2) 転送費用が月額にコミコミ
DMMは転送費が別、オールワンも組み合わせ次第。GMOは毎週転送でも2,750円ぽっきりで、総額の計算がラクでした。
◇(3) 毎週転送の安心感
月1転送+写真オプションという安い組み合わせも考えました。でも、何が来たかを毎回確認して指示する手間より、毎週勝手に届く安心感をとりました。
◇(4) 会社の知名度
住所を預ける相手なので、名前を知っている会社の安心感は、値段と同じくらい効きました。
正直、「実際の使い勝手はどうなのかな」という迷いは残っていましたが、それでも決めるつもりでした。
決めかけたところで、ふと思いついた相談
その夏頃、税理士さんとの定期ミーティングで、何となくこの住所の話をしていました。そこで、ふと思いついたんです。住所そのものを、どうにかできないか。思いつきのまま、その場で相談してみました。
即答ではありませんでした。でも後日、確認のうえでOKの返事をもらえました。事務所側で、登記に使える住所を用意してもらえることになったんです。有料で借りる形です。
もしNGだったら、予定どおりGMOで進めるつもりでした。だからこれは「バーチャルオフィスはやめておけ」という話ではありません。ただ、最後の決め手はこの感覚でした。
「どうせ毎月払うお金なら、知り合いの間で、うちうちで回るほうがいい」
毎月お世話になっている相手なら、顔が見えます。何かあったときに、すぐ相談もできます。比較表のどの列にも載らない項目ですが、私にはこれが効きました。
本店移転、自分でやりました — 登録免許税3万円
住所が決まったら、次は本店移転(会社の住所の引っ越し手続き)です。法務局(会社の帳簿を管理している役所)に申請します。
書類の名前だけ見ると身構えますが、初めてでも大丈夫です。移転の申請書、社員の同意書、決定書、定款(会社のルールブック)の変更。ひな形を探して埋めていけば作れる量で、特別な資格も要りません。会社の設立も自分でやったので、今回も自分でやりました。
▼設立のときの話はこちら: 「法人にした方がいいのかな」と迷っているあなたへ。役員報酬8万円のひとり社長が、6期目の本音を全部話します
https://komuroblog.com/solo-llc-6th-year/
かかったお金は、登録免許税(登記のときに国へ払う手数料)の3万円。2025年10月に申請して、無事に登記されました。
——と、ここで終わっていれば、「自分でやれば3万円で済みますよ」というきれいな記事だったんです。
銀行の画面で、住所が違う — 追加の3万円
しばらくして、ネットで銀行口座の住所変更をしていたときのことです。
郵便番号を入れると、住所の候補が自動で出ますよね。その画面に出てきた住所と、私が登記した住所が——違う。
町名の表記が、1文字。
控えていた住所を、そのまま申請書に書き写していました。国の帳簿に載る正式な住所としては、アウトです。
敗因は、はっきりしています。帳簿に載せる住所の表記を、郵便番号の検索レベルまで自分で確かめなかった、私です。
やり直しは、更正(登記の訂正)という手続きでした。訂正の申請書に加えて、上申書(「こういう事情で間違えました」と法務局に説明する書類)も自分で書いて、今度は窓口に出向いて提出しました。ちなみに会社の住所と社長個人の住所は別々に登記されていて、私は引っ越し後の「個人のほう」の変更を後回しにしていました。これもまとめて申請。
この2回目の申請で、登録免許税がもう3万円(訂正だけなら2万円ですが、ついでの住所変更も込みの金額です)。
移転と合わせて、合計6万円。
帳簿の上では、これで一件落着です。財布の側は、そうでもありませんでした。
あなたがもし自分で登記をやるなら、申請の前にこれだけ確かめてください。
郵便番号の検索で出てくる住所と、書類の住所の表記が、番地まで一致しているか
この確認はタダなんです。私のパターンさえふさげば、余計な出費はゼロで済みます。
いまの運用 — 法人宛ての郵便はLINEで届く
そんな顛末を経て、いまの運用はこうなっています。
法人宛ての郵便物は、住所を借りている事務所に届きます。届くたびに、担当の方が写真をLINEで送ってくれます。必要なものは、2日後には現物が手元に届きます。チラシのような不要なものは、写真をもらった時点で「破棄お願いします」で終わり。
これが、めっちゃ楽なんです。
さらに税務関係の書類は、「これはうちにも関係しそうなので、開封して良いですか?」と一報をくれて、中身を確認し、税理士側で対応できるものは対応まで済ませてくれます。私が動く前に、書類仕事がひとつ消えていることがあるんです。
いまのところ、不便はゼロです。
もちろんこれは、貸し主が税理士事務所だから成り立っている運用です。ただ、バーチャルオフィスでも「写真で知らせてもらって、必要なものだけ転送」に近い形は作れます。私の比較表でいえば、GMOの写真お知らせオプション(1,100円)がそれにあたります。
もしツテがなかったら — 私はGMOにしていました
最後に、正直な整理です。
私は、GMOオフィスサポートを使っていません。契約直前まで検討して、比較表まで作って、「ココ」と印をつけた。それでも、そこまでの候補です。なのでこの記事に、使用感は1行もありません。あるのは、契約直前まで行った人間の比較表だけです。
そのうえで。もしあなたに住所を貸してくれるツテがないなら、私と同じ前提条件(登記OK・愛知の住所・郵便転送)で最後に残ったのは、私の表ではGMOでした。ツテなしでもう一度選び直すなら、私は間違いなくGMOの毎週転送プランにしています。
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順番だけ、私の経験からおすすめさせてください。
・まず、身近なツテに一声かけてみる(税理士さん、付き合いのある事務所。ダメ元でいいんです)
・ツテがなければ、バーチャルオフィスを「自分の前提条件」で比較する(住所の県・転送の頻度・初期費用込みの総額)
・シェアオフィスは、通う用事がある人だけ検討すればいい
ツテの相談は、タダです。私のように、思いつきの一言で毎月の答えが変わることがあります。
さいごに — 住所の話は、先に片づけておくと軽い
「どこに置けばいいんだろう」から始まった私の住所問題は、「税理士さんの事務所から有料で借りる」に落ち着きました。あなたの答えはツテかもしれないし、バーチャルオフィスかもしれません。どれを選んでも、ちゃんと答えになります。
ただ、これだけは持って帰ってください。
「この物件で、法人の登記はできますか」(部屋を借りる前に)
「郵便番号で出る住所と、表記は一致していますか」(登記を出す前に)
この2つの確認は、どちらもタダです。私は片方を飛ばして、余分な3万円を払いました。
コメント欄は、実例を集める場所として開けてあります。会社の住所、あなたはどうしていますか。自宅のまま。バーチャルオフィスにした。うちも知り合いに借りている。どの一言でも、あとからこのページに来た人の選択肢がひとつ増えます。
上の2行の確認は、タダ。私はそれを、3万円で買いました。

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