「仲間がいれば、続けられるんじゃないか」
これは3年前、あるコミュニティの入会ボタンを押したときの、僕の本音だ。ひとりで始めたブログが10日で止まった、あの夏の話でもある。
いま「どこかのコミュニティに入ろうかな」と考えているあなたに、先にこの記録を置いていく。コミュニティ選びのおすすめ記事ではない。月2,480円のコミュニティに入った僕が、一度も書き込めないまま3ヶ月で退会した、その3ヶ月の記録だ。
もうひとつ、先にはっきり書いておきたい。今日の話に出てくるABCスペース(ヒトデさんたちが運営している、ブログを書く人たちのオンラインコミュニティ)は、何も悪くない。第1話でも同じことを書いたけれど、今日は中身に踏み込む分、もう一度書いておく。悪かったのはサービスじゃなくて、あの場所を活用できなかった僕の使い方だ。今回も、盛らない。カッコ悪い側から、順番に書く。
受付に人がいただけの、8月の名古屋
2023年8月の終わりごろ——だったと思う。僕は名古屋にいた。ABCスペースの、リアルの作業スペース(当時、会員が使えた実際の作業場所)に行くためだ。
ドキドキしながら、中に入った。
誰も、いなかった。
正確には、受付の人がいただけだった。作業している会員は、ゼロ。平日だから、当たり前といえば当たり前だ。僕はその場に、少しのあいだいた。
「あー、そういう感じかー」
ドキドキして、損した。何も起きないまま、帰った。
何も起きなかったことに落胆した、この間抜けな一日を、僕は今でも鮮明に覚えている。
<このとき学んだこと>
落胆は、期待の分だけ生まれる。誰もいない部屋にがっかりしたということは、僕はあの部屋に、何かとんでもないものを期待していたんだ。
その「何か」の正体を、これから白状していく。
巻き戻し — 挫折対策に、月2,480円
話は、その少し前から始まる。
2023年8月。FXで100万円を溶かした翌月に、僕はブログを始めた。そして、始めるのとほぼ同時に、ABCスペースに入会した。ヒトデさん(有名なブロガーさん)のブログで知った場所だ。
目的は第1話に書いたとおり、一緒に始める仲間が欲しかったから。月2,480円は、僕にとって「挫折対策」の値段だった。
正直、金額は気にしていなかった。ブログには化ける可能性がある、と思っていたからだ。100万円を溶かした翌月の男が言うセリフではないんだけどね。
入会後、同期会のオンラインミーティングがあった。リアルタイムでは参加できなくて、アーカイブ(あとから見られる録画)で参加した——気がする。参加の記憶すら、もうそのくらい曖昧だ。
<このとき学んだこと>
「対策までした」という安心感は、それ自体が気持ちいい。このときの僕は、ブログを書くことより先に、挫折したときの保険を整えていた。
あの安心感の気持ちよさだけは、今でも思い出せる。
欲張って買ったJINと、10日の挫折
装備も、そろえた。
サーバー(記事を置いておく、ネット上の土地みたいなもの)を借りて、テーマは欲張ってJIN(ブログの見た目をまるごと整えてくれる、有料の着せ替えセット)を買った——気がする。買ったかどうかの記憶が曖昧なことも、第1話のとおりだ。
コミュニティに、有料テーマに、挫折対策。装備だけが、そろっていった。
で、結果はご存じのとおり。設定に1週間かけて、毎日更新は10日で止まって、アクセスは0。記事は後に全部消した。10日間の中身は第1話に全部置いてきたので、今日は省く。
▼第1話: 「今日も更新しなきゃ」に潰されたあなたへ。ブログを10日で全削除した僕の敗因は、たった1つの思い込みでした
https://komuroblog.com/blog-10days-quit/
今日書きたいのは、第1話では少ししか触れなかった場所の中身だ。ABCスペースの中で、僕に何が起きていたか。
<このとき学んだこと>
お金で買える準備と、続ける力は、別の棚にある。僕は棚を間違えて、買い物ばかりしていたんだ。
装備は今も、どこにも悪くない顔をして請求履歴に残っている。
「その場所に行けば、何かが変わる」
名古屋に行った理由も、白状する。
入会したころ、ヒトデさんの添削オフ会(参加者のブログをその場で講評する会)の動画を見た。画面の向こうは賑わっていて、素直にこう思った。
「たくさんの人が、あつまっているな」
それで、名古屋の作業スペースに行ってみることにした。行けば誰かと話せて、ブログのきっかけがつかめて、全部うまくいく。頭の中に、そういう妄想ができあがっていた。
冷静に考えれば、分かる話だ。平日に、入会したばかりのやつが来て、そいつに会いたい人なんて、いない。そもそもブログは場所を選ばずに書けるのが魅力なのだから、行けば誰かに会える、という僕の読みのほうが甘かった。仕組みが悪いんじゃない。作業スペースも、同期会も、添削会も、ちゃんと用意されていた。その使い方を妄想で上書きしていたのが、僕だ。
「その場所に行けば、何かが変わる」——このときの僕は、ただただ、そう勘違いしていた。我ながら、つくづくイヤになる。でもそれが、本音だったと思う。
<このとき学んだこと>
場所に行っただけでは、何も変わらない。変わるとしたら、その場所に何かを差し出したときだ。僕は書いたものを差し出すことは考えず、受け取ることだけを考えて名古屋へ向かっていたんだ。
帰り道の記憶は、ない。
書けなかった質問 — 「アクセス数がありません」
書き込もうとしたことは、ある。頭の中には、こんな質問がぼんやり浮かんでいた。
「今、こんな記事を書いています。アクセス数がありません」
みたいなことを、書きたかった。
でも、書けなかった。
理由のひとつは、自分で答えが分かっていたからだ。「そんな数日で見られるわけないだろ」って。質問する前から、返ってくる言葉まで想像できてしまった。
——いや、これも正確じゃないな。分かって「いた」んじゃなくて、分かっている「つもり」だった。本当に分かっていたら、そもそもアクセス0の画面に落胆していない。どこかで「始めたばかりでも見られるかもしれない」と妄想していたから、0という数字に落胆していたわけで。分かったふりと妄想を、同時にやっていたんだ。
もうひとつの理由は、もっと単純だった。ダメ出しされるのが、イヤだったんだと思う。どうせダメ出しされるだろうし。で、書き込めなかった。
周りの質問はどれもレベルが高く見えて、「10日でやめた僕が、相談するレベルじゃない」と感じていたことは、第1話に書いた。その手前で、こういう質問未満の質問が、送信されないまま消えていたわけだ。
<このとき学んだこと>
質問できない理由が「答えを知っているから」なら、それは質問がいらないんじゃない。答えを受け止める覚悟のほうが、まだできていないんだ。
月2,480円の場所で、僕がためらったのは書き込みボタンひとつだった。
プロフィールだけが育って、11月に退会した
じゃあ3ヶ月、何もしていなかったのかというと、そうでもない。ログインは、していた。
やっていたのは、プロフィールの作り込みだ。ちゃんと整えて、それなりの見た目にして。「フォローさんが増えたな」と、数字を眺めたりもしていた。
そんなことしてないで、記事を書けよ、って話だ。今なら分かる。
でも当時の僕は、それを見て、やった気になっていたんだと思う。ブログのほうは止まったままなのに、コミュニティの中の自分だけが、少しずつ立派になっていく。
2023年11月。入会から3ヶ月で、退会した。
払ったのは月2,480円が3回で、7,440円。書き込みは、0回。
<このとき学んだこと>
“やった気”は、何もしていない時間の痛みを消してくれる。痛みが消えると、人は3ヶ月でも平気で止まっていられるんだ。
フォロワーの数字だけが、あの秋の成果物だった。
3年後 — 欲しかったのは「一次情報」だった
時間は飛んで、2026年。僕は3年ぶりにブログを再開して、この記事を書いている。
今度は、コミュニティではなくAI(言葉で頼むと、調べ物や文章づくりを手伝ってくれる道具)と組んでいる。再開して最初にやったのは、サーバーの契約だった。何をどう選んだかは、この1本に残してある。
▼「もう一度ブログをやりたい」あなたへ。1年契約を3週間で無駄にした私が、2度目もConoHa WINGを選んだ理由と全手順
https://komuroblog.com/conoha-wing-restart/
再開してから、気づいたことがある。3年前、僕がコミュニティに求めていたものの正体だ。
仲間という言葉で包んでいたけれど、欲しかったのは、成功している人の一次情報(その人が実際に経験して手に入れた、なまの知見のこと)だったんだと思う。何をやってきたか。どれだけの量をやったか。どれだけ失敗したか。
そしてAIには、そういう情報が膨大に蓄積されている。少なくとも僕は、その情報だけでも十分戦える、と今は思っている。勝手にダメ出しを想像して、おびえる必要もない。
念のため書いておくと、これは「コミュニティよりAIが上」という話ではない。あの場所に人が集まって賑わっていたのは、添削会の動画の向こうに実際に見えていた。単に、書き込みボタンが押せない僕のような人間には、この組み方が合っていたというだけの話だ。
<このとき学んだこと>
道具や場所の良し悪しの前に、自分がどうすれば動けるのかという仕様がある。僕の仕様に合っていたのは、24時間、ダメ出しを恐れずに聞ける相手だった。
3年前の僕が聞いたら、たぶんうらやましがると思う。
僕は、「作りたいものから作る」人間だった
もうひとつ、3年たって分かったことがある。
僕はそもそも、リサーチ(先に市場の声を調べること)やマーケットイン(求められているものを調べてから作るやり方)が嫌いだ。プロダクトアウト(自分の作りたいものから始めるやり方)の人間なんだと、つくづく思う。
やりたいようにやって、成功したい。だから、自分ひとりでやって、失敗を重ねていくのが性に合っている。
コミュニティで人の正解を教わりながら進む道は、たぶん最短距離だ。それでも僕は、遠回りしながら自分で確かめる道のほうを、結局選んでしまう。3年前の入会が機能しなかった理由の、いちばん深いところはここだと思う。場所のせいでも、仲間のせいでもない。僕の性分と、使い方が合っていなかった。
いまのブログも、市場を調べて当てにいっているわけじゃない。自分の失敗という持ちネタを、誰かの役に立つ形に整えて出しているだけだ。プロダクトアウトのまま、出し方だけ変えたことになる。
<このとき学んだこと>
挫折対策より先に、自分の性分を知るほうが順番だった。性分に逆らった対策は、お金を払っても動かない。
入会して、打ちひしがれて、それでもまた挑戦する。これで良いと、今は思う。
まとめ — 場所に行っただけでは、何も変わらない
3ヶ月の出来事を、並べておく。
・入会 :仲間がいれば続けられる、と月2,480円の挫折対策を買った
・名古屋 :「行けば変わる」の妄想で向かって、受付の人に会って帰った
・質問 :「アクセス数がありません」を、頭の中だけで完結させた
・3ヶ月 :“やった気”とフォロワー数だけが育った
・退会 :書き込み0回のまま、7,440円を払い終えた
全部をひっくるめると、こうなる。
挫折対策 = 買うものじゃなくて、書くことだった。
対策も、装備も、場所も、全部そろえた僕に足りなかったのは、書いたものを差し出すことのほうだった。何も差し出さないまま、受け取れるものはなかったんだ。
——実は、コミュニティ自体は今もひとつだけ続いている。リベシティ(お金の勉強をする人たちが集まるコミュニティ)だ。理由も第1話に書いた。ブログ専用の場所じゃなかったのが、大きかったんだと思う。つまりコミュニティがダメなんじゃない。当時の僕の、入り方と使い方の問題だったんだ。
さいごに — 「入れば変わる」と思っていた人へ
「仲間がいれば、続けられるんじゃないか」。3年たって分かったのは、仲間は続ける理由にはなってくれるけれど、続ける本体は、自分が差し出すもののほうだ、ということでした。
もしあなたが今、どこかのコミュニティやジムやアプリの会員のまま止まっていても、自分を責めすぎないでほしいんです。僕のように、性分と使い方が合っていないだけかもしれません。
ひとつ、聞かせてください。
あなたの「入れば変わると思って、入ったもの」を、コメントで教えてもらえませんか。ジムの会員権でも、英会話のアプリでも、なんでも。僕と同じ勘違いをしていた人は、たぶん僕だけじゃないと思うので。月2,480円で“やった気”を買っていた男が相手ですから、どんな短い話でも大丈夫です。笑
打ちひしがれても、また挑戦する。3年かかった僕が言うのもなんですが、あなたの再挑戦は、もっと早くていいと思うんです。


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