「捨てるにもお金がかかる」とため息をつくあなたへ。引っ越しの不用品がメルカリで10万円になった話

メルカリで引っ越しの不用品を売って10万円になった体験談のアイキャッチ画像 副業の失敗と学び

「これ、捨てるだけでお金を取られるのか……」

1年ちょっと前、引っ越しの後片付けをしていた僕は、十数年使った洗濯機の前でため息をついていた。大きなものは、処分するのにもお金がかかると分かったからだ。

結論から言うと、この洗濯機は捨てなかった。冷蔵庫も、テレビも、オーディオプレーヤーも、読み終わった本も。ぜんぶメルカリで売って、約2ヶ月で合計10万円になった。

そのため息ごと引き取るつもりで、この記事を書いた。やったことに特別な才能はいらない。順番を工夫しただけだ。その順番と、途中でやらかした赤字事件まで、隠さず書きます。

サバは読みません。10万円は「売上」の合計で、販売手数料や梱包材の分、手取りはもう少し小さくなります。

前の家を空にすると決めて、家中が「売り物」に見えた

2025年の春。独立後の僕は、引っ越しの後始末の途中だった。半年前に賃貸へ移ったあとも、前の持ち家が売れるまで、家財ごと残っていたからだ。

出費がかさむ時期だったから、引っ越しは業者に頼まず、1人でやった。冷蔵庫と洗濯機は新居用に新品を買って、旧居を経由させず新居へ直送する段取りにした。じゃあ、前の家に残った、十数年働いてくれた古い方たちはどうするか。

捨てれば、お金を取られる。

だったら、売る。うまくいけばプラス、最悪0円で引き取られても、処分費を払うより確実にマシなんだ。

この「0円でもOK」の開き直りが、値付けの迷いを全部消してくれた。高く売ろうと欲を出さない。安めに付けて、早く売り切る。結果的にこれが、2ヶ月で売り切れた最大の理由だったと思う。

<このとき学んだこと>

不用品は「売れたら儲け」じゃなく「捨てたら損」から始まっている。スタート地点をマイナスに置き直すと、値付けで迷わなくなる。

そう決めた日から、家の中がぜんぶ売り物に見えてきた。

いきなり家電は売らない — まず本20冊で「信用」を作った

最初に出品したのは、洗濯機でも冷蔵庫でもない。

読み終わった本、約20冊だ。

理由は2つある。1つは練習。本なら梱包は袋に入れるだけ、写真も表紙を撮るだけでいい。出品から発送までの流れを体で覚えるのに、これほど楽な商品はない。

もう1つが本命だ。アカウントの「評価」を先に貯めたかった。考えてみてほしい。評価ゼロの出品者から、十数年物の洗濯機を買う人がいるだろうか。「この人から買って大丈夫?」という不安を消すには、小さな取引の実績を積み上げるしかない。

だから本は、まとめ売りにしなかった。1冊ずつ、20回に分けて出品する。欲しかったのは売上じゃなくて、評価の件数だったんだ。いわば、信用の前払いだ。

値段は、当時使っていた自動値下げの設定(決めた下限まで、少しずつ勝手に下がっていく仕組み)に任せて、定価スタートから100円のラインまで。汚れや折れ曲がりは、見つけたら隠さず写真に撮って、説明にも書いた。

約20冊、完売した。

<このとき学んだこと>

先に売るべきは、商品じゃなくて信用だった。本20冊の売上は小銭でも、積み上がった評価が、あとで家電を売るための土台になる。

数百円の取引を、僕はけっこう真剣にやっていた。

小型家電の壁 — 「売れる前に」段ボールに入れておく

本の次は、Wi-Fiルーターや固定電話などの小型家電に進んだ。

ここで最初の壁が現れる。

段ボールだ。

本は袋で済んだけれど、家電は箱がいる。箱と伝票の段取りが頭に浮かんだ時点で、出品ボタンが遠のいていく。面倒くささは、始まる前がいちばん重いんだ。

僕の対策は単純で、売れる前に梱包を終わらせておくことだった。先に段ボールを用意して、商品を入れてみて、「これでいける」と段取りを確かめる。写真を撮るために一度出して、撮り終えたらまた箱へ戻す。あとは売れたら、伝票を貼って出すだけ。

値段は買ったときと同じくらいを付けてみたら、記憶では、なかなかいい値段で売れた。必要な人が、型番で探しに来てくれたのかもしれない。

<このとき学んだこと>

出品をためらわせるのは値付けでも撮影でもなく、「売れた後の面倒」が頭に浮かぶこと。その面倒を先に片付けておくと、出品ボタンが軽くなる。

箱に入ったままのルーターが、箱のまま売れていった。

大型家電 — 十数年物の洗濯機を、YouTube先生と分解清掃

いよいよ本丸の大型家電だ。冷蔵庫、洗濯機、テレビ、オーディオプレーヤー。どれも十数年選手で、冷蔵庫にいたっては2012年製の13年物だ。

大型家電でいちばん大変だったのは、出品でも発送でもなく、掃除だった。

十数年分の汚れは、写真に正直に写る。ここをサボると、写真がぜんぶ語ってしまうんだ。YouTubeで洗濯機の清掃方法を検索して、動画を見ながら1人で分解して、洗って、組み直した。電源プラグの外し方まで、ぜんぶ動画で調べた。写真が撮れる状態になるまで、かなりの時間を使ったと思う。

その甲斐あって、冷蔵庫は送料込み30,722円で売れた。配送料が18,500円、手数料が1,222円。手元に残ったのは、11,000円だった。

「よし、この調子で洗濯機も」——そう思っていた僕を、この2ヶ月で最大の事件が待っていた。

<このとき学んだこと>

中古品の価値は、清掃で決まる部分が大きい。時間はかかるが、磨いた分だけ写真が味方になってくれる。

このときの僕は、掃除さえ終われば勝ちだと思っていた。

事件 — 「赤字になってしまいますが、大丈夫ですか?」

洗濯機は乾燥機付きの上位機種で、無事に買い手がついた。あとは配送を待つだけ。

その配送日に、宅配業者さんから電話が鳴った。

「配送料がかなり高いのですが……赤字になってしまいますが、大丈夫ですか?」

「赤字!?それは無理!」

心の中で叫んだ。聞けば、送料は1万円を超えるという。大型家電の配送料を、僕は出品前に調べていなかったんだ。売れた値段より、送料の方が高い。つまり売れたのに、送るほど損をする状態になっていた。

購入者さんには、正直に連絡した。価格設定を間違えていたこと。このままだと赤字で発送になってしまうこと。申し訳ないが取り下げさせてほしいこと。

購入者さんは、快く応じてくれた。

本当にありがたかった。顔の見えない相手に頭を下げるのは初めてだったけれど、正直に書いてよかったと心から思った。

配送料を調べ直して、送料込み9,999円で再出品。今度は、無事に売れた。実際にかかった送料は8,600円、手数料が139円。手元に残ったのは、1,260円だった。

<このとき学んだこと>

大型商品は「いくらで売れるか」より先に「いくらで送れるか」を調べる。配送料だけは、売れてからでは手遅れになる項目だった。

宅配業者さんのあの電話がなかったら、僕は気づかないまま赤字で送っていた。

「凄く助かりました」— 1,260円と、値付けの正解

再出品した洗濯機の取引が終わったあと、購入者さんからコメントが届いた。

「この価格で洗濯乾燥機が使えると思っていなかったので、凄く助かりました」

これを見て、正直「良い値付けだったな」と思った。負け惜しみじゃない。十数年使った、素人が清掃した洗濯機だ。相手が「助かった」と満足してくれる値段なら、あとから小さな傷や不具合が見つかっても、クレームにはなりにくい。

僕の手元に残ったのは、1,260円。それでも思い出してほしい。この洗濯機は本来、処分費を払って消えていくはずだったものだ。それが1,260円と「助かりました」の言葉に変わった。安く売るのは損じゃなく、古いものを気持ちよく引き取ってもらうための保険でもあるんだ。最初に決めた「0円でもOK」の値付けは、最後の最後まで僕を守ってくれた。

<このとき学んだこと>

中古品の適正価格は「自分が損しない値段」じゃなく「相手が得したと感じる値段」。その差額は、安心料としてはかなり安い。

あの洗濯機は、いまもどこかの家で回っているんだろうか。

田舎の落とし穴 — 時間指定は「売れた後に」できないと知る

最後に、田舎住まいの人にだけ効く注意をひとつ。

大型家電の出品画面には「時間指定可能」と表示されていた。ところが売れた後、いざ指定しようとすると「あなたの地域は指定できません」と出た。

少なくとも当時は、出品の時点では気づけない仕様だった。これには参ったんだ。

結局、配送日は1日まるごと予定を空けて、宅配業者さんからの「1〜2時間前の電話連絡」に合わせて動いた。僕は独立していて時間の融通が利いたからよかったものの、会社員時代だったら、この対応はかなり厳しかったと思う。

ついでに言うと、当時の大型家電向けの機能は一部がアプリ非対応で、わざわざブラウザで開いて確認する場面があった。スマホだけで完結しないのは、地味にストレスだった。

<このとき学んだこと>

画面の「できます」は、自分の地域でもできるかどうかとは別の話。大型商品を売るなら、配送料と配送条件を自分の住所で先に確かめる。

田舎の空は広いのに、配送の選択肢は狭かった。

2ヶ月で10万円 — 数字の中身も正直に

結果をまとめる。

出品期間は、約2ヶ月。本約20冊、小型家電、テレビ、オーディオプレーヤー、冷蔵庫、洗濯機。売上の合計で、10万円になった。

繰り返しになるけれど、これは売上で、販売手数料や梱包材の分、手取りはもう少し小さい。それでも、本来なら処分費を払って消えていくはずだったものたちだ。

マイナスで終わるはずが、10万円のプラス。

この落差のおかげで、体感は金額以上だったんだ。しかもこの2ヶ月は、住み替えでお金が出ていく一方の時期だった。なにせ家が売れるまで、前の家と賃貸の二重払いだ。財布が軽くなっていく中で、家の中から現金が生まれてくる。この安心感は、数字では書き切れない。

ちなみにその後も、本や小物の家電をほんの少しだけ出品していた。最近は、全然やっていない。不用品がなくなったら、終わり。それでいいと思っている。売るものを新しく仕入れた瞬間、それは別の商売になってしまうからだ。

<このとき学んだこと>

不用品販売は「続ける副業」というより、引っ越しや買い替えのたびに発動する「一生モノのスキル」。一度覚えれば、次からは迷わない。

家が片付いて、お金が入ってくる。こんなに割のいい大掃除は、なかった。

まとめ — 順番がすべてだった

僕がやったことを並べておく。

・値付け  :捨てたらマイナス。だから「0円でもOK」で早く売り切る

・順番   :本20冊で評価を作る → 小型家電 → 大型家電

・段ボール :売れる前に、梱包まで済ませておく

・大型商品 :配送料と配送条件を出品前に調べる(僕はこれで赤字になりかけた)

・清掃   :YouTubeを先生に分解掃除。写真は隠さず正直に

結局、こういうことだった。

不用品 = マイナスの値札がついたままの商品。

値札を書き換えるのに必要だったのは、ちょっとした順番の工夫だけなんだ。特別な仕入れも、商売の才能も、いらなかった。

「これ、捨てるだけでお金を取られるのか……」——あのときの僕と同じため息をついているなら、洗濯機からじゃなく、本棚の20冊から始めてみてください。

さいごに — お願いと、朝5時の連載のこと

ここまで読んでくれたあなたに、お願いがあります。

あなたの家の「捨てるとお金がかかるもの」、コメントで聞かせてもらえたらうれしいです。うちの場合は十数年物の洗濯機でしたが、物置のブラウン管テレビかもしれないし、乗らなくなった自転車かもしれません。僕だけが赤字未遂を晒したままなのは、ちょっと居心地が悪いんです。それに正直、次の引っ越しでもまた何かやらかす気がしています。笑

それから、ひとつご報告を。いま書きたい実体験が溜まっているので、しばらくの間、集中連載として朝5時に1本ずつ公開していきます。「毎日書かなきゃ」のノルマに潰された僕が言うのも変な話ですが、ノルマと、書きたい在庫の放出は別物でした。息切れしたら、遠慮なくペースを落とします。

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